巣引き方法基礎講座

1.ヒナの顔も見てみたいけれど?


 カナリアは寿命もさして長くはない(鳥によってかなり差がありますが、通常6〜9年程度)為、
何もしないと数年で死んでいなくなってしまいます。繁殖はさして難しくはありませんので、
是非巣引きにチャレンジしてみて欲しいものです。

 巣引きの楽しさはカナリアを飼う上での醍醐味の1つですし、子を育て、世代をつなげる中で
自分好みの歌を歌う鳥を作り出して行くことも可能になってくるのです。

a.巣引きの為の基本条件:

1. 飼い主にやる気があること。放っておいても気がついたら鳥の数が増えていた、などという
ことはカナリアの場合まずあり得ません。従い、飼い主の意欲が不充分なのであれば、やめた方が良いでしょう。

2. 雄が1〜6才、雌が1〜5才の健康な鳥(兄弟や親子は避ける)がいること。

3. その鳥達があまりに仲が悪くないこと。お互い無視している様なペアが意外とうまく行きます。
カナリアはペアといっても、インコほどはベタベタしないものです。

4. 大き目のかごがあること。一般には、木の「庭箱」が良いなどと言われますが、金かごの方が
管理は楽です。市販の大き目(40cm角程度)のかご位の広さは欲しいものです。

b.その他必要なもの:

1. 巣: 市販の皿巣と、それを取り付ける器具、巣材としてのシュロの毛等。

2. かごカバー: 近くにペア当事者以外のカナリアが見えると、気になって営巣・育児に集中出来ません。
もし近くに飼っているのなら、かごにカバーをつけてペアの鳥から他のカナリアが見えない様にする
(声は聞こえても良い)ことが必要です。カバーの材料は、厚紙やベニヤ等で良いです。

3. 白エゴマ: 育児時の必須の栄養強化餌です。ちなみにアワタマは普通食べないので不要です。

4. ゆで卵: ゆで卵だけでも良いし、パン粉等と配合して与えるのも良いです。ここではゆで卵について書きます。


2.かごの用意


☆ 市販の大き目の籠(40cm角程度)を用意します。更に大きくても構いません。何色の籠でも構いませんし、
木箱等を利用して制作しても良いでしょう。ただ、底の「糞切り網」は雛がいる時期は、特に危険なので必ず
外します。但し、掃除の時に鳥が出てしまわない様、注意が必要です。

 上に書いた通り、ペアの鳥からは、他のカナリアが決して見えない様、カバーをしたり、覆いをします。
但し、カバーで暗くなったりしない様に、カバーには白っぽい材料を使用する方が良いでしょう。

 また、かごに寄生虫やカビなどの心配がある場合は、巣引きを開始するまでにかごの掃除・消毒を
徹底的にやるようにします。巣引きが始まってからこうした問題が起こると、卵が捨てられたり、雛が
死んだり、の悲劇のもとになります。


3.置き場所は?


☆ 明るくある程度静かであるところにします。通常飼っている場所が鳥が馴染んでいることもあり良い
ですが、そこがもし薄暗い所であるならば、繁殖シーズンに入る前に明るいところに移動するか、照明を
自然の日照時間に合わせて点灯するようにします。

 直射日光は半分以上日除けを作ることで避ける様にし、風通しもあるところにします。


4.巣皿の取り付け方


☆ 籠の上の方で明るい場所(籠の奥の薄暗いところではないことに注意して下さい)。巣の位置は、
明るいことがまず必須なので、巣皿は前網か横網の前の方などに取りつけると良いでしょう。
グラグラしないようしっかり取り付けて下さい。

以上で、基本的な心構えと、基本的な準備は整います。次にはいよいよ巣引き開始となります。



5.巣引き時期


☆ 3月から6月。従い、上記の準備完了は3月始めまでにしておくようにします。


6.ペアリングが問題!


 カナリアの巣引きが失敗する原因の半分位はこれ。雄と雌が喧嘩ばかりしてうまく行かないというものです。

 カナリアに喧嘩が多くなるのは、冬から春一杯なので、秋からペアを一緒にしておくのも手軽で良いでしょう。

 良く観察し、正常な発情行動と異常なやめさせるべき喧嘩の行動とを、良く見極めるようにすることが大事です。


7.ペアリング後


☆ 雌が巣材を持ってウロウロし始めたら、籠は決して動かさず、籠の周囲の物も余り動かさない様にします。
大掛かりな掃除もやめます。巣材をどんどん供給し、床に落ちたりして不潔になった巣材はさっさと捨てましょう。

☆ 巣材: 市販のシュロやヤシ繊維等でOKです。また、農薬の恐れのないイネ科の柔らかい枯れ草(例えば
チゴガヤ)等も良い巣材になります。しかし、紙や、特にビニールは絶対に避けるようにします。


8.餌は?


<巣作り開始〜産卵〜抱卵開始後3日目まで>

●主食: 市販のカナリア用配合飼料にカナリーシード・エゴマを追加します。1割から2割でOKです。

●水・野菜: 巣引き時には野菜が必須ですが、通常通りで良いでしょう。

●副食物: ボレー粉(毎日必須です)、塩、塩土、砂(毎日入れていなくてもOKです)。

● 特別食: 産卵開始から、ゆで卵(日に1/16個、小さじ一杯程度)を与えます。

<抱卵開始後4日目〜ヒナ誕生まで>

●主食: 市販のカナリア用配合飼料だけにして、カナリーシード・エゴマの追加はやめます。

●水・野菜: 水は通常通りですが、野菜はやめるか少量にします。

●副食物: ボレー粉、塩、塩土、砂(毎日入れていなくてもOKです)。特別食はやめます。

<ヒナ誕生 〜 親分けまで>

●主食: 市販のカナリア用配合飼料にエゴマとカナリーシードをまた追加します。2割から3割とします。

●水: 通常通り。但し、水浴び用の容器は、水浴びが終わり次第取り出します。

●野菜: 小松菜を中心として、欲しがるだけあげましょう。

●副食物: ボレー粉(毎日必須です)、塩、塩土、砂(毎日入れていなくてもOKです)。

●特別食: ヒナ誕生以降、ゆで卵(最初は日に1/16個ー小さじ一杯、一週間後には1/8個)を与えます。


9.注意点


☆ 全般: 巣皿は巣作り開始後は決して移動しないようにします。また、産卵確認・雛の確認などで巣皿を
外した後は、必ず元の位置に元の置き方の通りにすみやかに戻すようにして下さい。

☆ 産卵時: 巣が出来上がってくる頃から、産卵しているかどうか、毎朝確認します。卵があれば良く注意して
取り出し、常温(冷蔵庫に入れてはいけません)の暗いところ(ネズミに食われたり、誰かがひっくり返したりしな
いところ)で保管し、偽の卵(擬卵・ギラン)と交換します。産卵開始後四日目位で雌が巣にずっと座る様になると、
取り上げていた卵を一斉に巣に戻し、擬卵は回収します。

☆ 抱卵時: 卵が巣の中や巣の下で割れたりしていたらすぐ取って捨てます。

☆ 雄: 元は夫婦仲が良くても、段々不仲になることもあります。雄が雌の育児を邪魔するなら、雄を取り出し
てしまうこともあります。

☆ ヒナ誕生後: ヒナは時々巣の中で死んだり、巣から落ちたりするので、巣の中で死んでいないかどうか毎日
確認し、死んで腐ったりしない様良く気を付けます。また、孵化後二週間位からは、突然巣から落ちたりするので、
巣から落ちていないか、毎日確認しましょう。

☆ 親分け: ヒナが自分で餌を食べる仕草が出てきたり、或いは親が無視したりいじめたりした時が親分けの
タイミング(大体孵化後26日〜32日程度)です。

☆ 独立: しっかり自分で餌を食べる様になると独立です。広い籠に移し、徐々に皮付き餌を試しながらやります。

 普通孵化後35日もすると、しっかり自分で親と同じように食べる様になります。カナリーシードとエゴマを充分に
(3〜4割)与え、孵化後90日程度までは、カナリーシード・エゴマの多い「特別食」とした方が良いようです。




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