若鳥の訓練方法基礎講座


1.若鳥の初級訓練


☆ 親鳥より独立させた若鳥は、4羽〜5羽づつ巣引きかご、或いは金かごに入れる。この時期、巣立ちした
といってもまだ何となく幼稚でひ弱な感じがします。しかし、孵化後50日も過ぎると、ひ弱な若鳥も、随分しっ
かりしてくるものです。

☆ 7月末頃迄は、十分な運動をさせながら体力をつけます。

☆ 8月に入る頃には、雄・雌を分けるようにします。

<注意> 元々、カナリアの雄・雌の差は少なく、見分けにくいものです。特に、まだ孵化後半年も経っていな
いものはわかりにくいでしょう。しかしこの時期は、一羽立て訓練という本格的訓練の開始直前の時期にもなっ
ていますので、早く雄・雌判別をしておく必要があるのです。

<見分け方> 孵化後35日目頃から、雄の雛鳥は盛んにグゼリだします。その時にリングナンバーや色彩など、
特徴を記録しておき、雄であろうと目星を付けておくようにします。
ちなみにグゼリとは、歌になる前の段階にある『練習』みたいなもので、喉をふくらませて、何か呟いている様に
弱々しく囁き、時には燕の囀りの様に聞こえます。
時には雌もグゼりますが、雄に比べ短くて、すぐ飽きるようです。早い時期から、若鳥の個体識別が完全に出来る
よう、リストを作ったりカラーリングを入れたり、一目でどれがどの鳥かすぐ分かる様に、日頃から良く観察しておき
たいものです。

☆ 雄は色調がやや濃い(黄色の部分が濃い、或いは緑の鳥であっても色調がより鮮明)こと、顔付きが少々はっ
きりしていること、等で判定出来ますが、完全に判定するのは困難です。雄とはっきり分る鳥が3割、雌と分る鳥が
3割、残り4割ははっきりしない・・・、という程度で気楽に考えて下さい。

☆ 若鳥の訓練は、教師鳥という「先生鳥」をそばにつけて訓練するのが一番良いのは当然ですが、教師鳥がいな
い人、或いは親の雄がいても換羽期の最中は鳴かないなど、うまく行かないことも多いと思います。その場合は、
親鳥の声を録音したテープを聞かせるしかありません。若鳥の雄ばかり入れたかごの前で、朝・夕20〜30分位
、静かに聞かせましょう。

<注意> 少々専門的になりますが、フルートに続けてグルックと鳴くようなテープが良いと思います。つまり、
フゥーフゥーコンコンと聞こえるものです。 

下の写真は初級訓練の様子です。方法は色々あるようですが止まり木に工夫がされています。
この方法だとお互い羽を引っ張り合いしないので抜けたりしないメリットがあるようです。(羽を傷つけない)


2. 若鳥の中級訓練

 ☆ 9月から10月に入ると、若雄達を1羽ずつ訓練かごに入れて行きます。(1羽仕立てと呼びます。)
(ちなみに、クラブの理事長は別にプロではありませんが、横5列の縦6段、合計30羽を大量に一度に
訓練出来る訓練箱で行っています。下の写真参照。通例、こんな大規模にやる人は珍しいです。。。


<注意> 1羽仕立てにするのは、換羽期が完全に終わってからにすることが大切です。6〜7月などの
遅生まれの若鳥の場合は、この時期、未だに顔に仕上がり途中の羽が見られることもあります。そうした場合は、
換羽期が終わるのを待つようにします。


☆ 1羽仕立てにした当初は、隣の仲間が見える様に仕切りは入れないようにします。

☆ 静かに歌の練習に集中出来る様に、前面に濃い緑や濃い青の布(カーテン)をかけて薄暗くします。

☆ 訓練かごに入れられた若雄達も、1週間程過ぎると、落ちついて濃い緑のカーテンの後ろで盛んに囀るようになってきます。

☆ 訓練かごに入れて10日目に、隣りのかごとの間に半分だけ仕切りを入れます。この時、餌・水を食べる方を仕切ります。
すると、後ろにさがれば仲間が見えるといった形になります。

☆ 更に10日後には、後ろまで全部仕切ります。

☆ この時期は、若鳥を出して長い時間歌を聞く様な事はまだしません。

☆ やがて、カーテンの奥で盛んに歌うようになってきます。


3. 若鳥の上級訓練




☆ 10月に入ると朝・夕、カーテンを開けて光を入れて30分程度聞いてあげましょう。歌っても歌わなくても、
30分程度でカーテンを閉めます。

<注意> 発育の遅い鳥、孵化が遅かった鳥は、10月に入って訓練かごに入れて本格訓練をスタートすることもあります。


☆ 11月になって歌がまとまってくると、朝・夕、訓練かごを積んでじっくり聞いてみましょう。(時間が無くて無理な人は、
自分の時間のある時だけで結構です。仕事の都合上、一回/週しか聞けない人もいますが、それはそれで仕方ありません。)

<注意> これも又、歌っても歌わなくても、30分程度で元に戻しましょう。



☆ グルックという歌節を歌う若鳥が出てきたら、速やかに教師鳥から離します。(グルックを歌う鳥のみです。)
後は其の鳥なりに、充分歌い込む様にさせます。

<注意> 教師鳥にあまり長く付けているのは良くないと言われます。つまり、ひとつの歌節を2通り以上歌ったり、
教師鳥自身の悪い癖を覚えたりするからです。


☆ この頃になると、静かに歌う鳥、又他の鳥を抑えつける様に歌う鳥等、癖のある鳥も出て来ます。

☆ 訓練箱から出された鳥達は、その場で速やかに歌い始める様に訓練する事が大切です。そうしないと、折角コンテストに連れて行っても、ノーソングということで点がつかないで帰って来たりしてしまいます。そんな事の無いように気をつけたいものです。

☆ 12月になると、京都クラブのコンテストも本格的に始まります。朝、コンテストに連れていき、夕方帰る時までには若鳥は大きく変わっていきます。雰囲気と、普段聞き慣れない他舎の鳥たちの声に刺激され、歌が進むものが多いのです。ローラーの歌とはそんなにデリケートなものなのです。                                                                                                                                                                

 そして、いよいよ晴れのコンテスト舞台です。

 1年間注ぎ込んだ愛情と期待を実らせて、他の会員達とお互いの鳥の歌を楽しみあう




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