飼い方基礎講座

1.ブリーダーやペット店からローラーを入手した場合の注意事項

ブリーダーから直接鳥を入手する場合にも言えることですが、近くにローラーカナリアのクラブ
見つからなかったりして、やむを得ずペット店などから買った場合、何点か特に注意しておくべき
項目があります。

● 病気/寄生虫有無の確認を充分に(約2週間程度隔離飼育)してから、家にいる
他の鳥達と一緒にすることが大切です。その確認期間中に何らかの異常があった場合は、
特に隔離を厳重に行って対策・治療を行うようにします。

● 金属の継ぎ目無し足環をはめていない鳥は、非常に信用のおけるブリーダー以外
からは決して入手しないこと。ローラーの場合、その価値は外見からでは何も判断できない
ため、特にこのことは注意しておきたいものです。特に、雌は外見では全く分からない為、こうした
足環無しの鳥を買うことは「賭け」に近いものと覚悟すべきです。
次に足環の内容を良く見ます。そこにはその鳥の生年(西暦下2桁)やクラブナンバー、
ブリーダーナンバー、通し番号等が彫り込まれています。
(例:2004年生まれ京都クラブ(018)のある会員(K24)の鳥・・・JIR04-018-K24-xxx)従い、もし血統書
などの資料が無くても、クラブや連盟に問い合わせれば、誰が巣引きした鳥で両親がどの鳥か
分かるようになっています。ちなみに、国際ローラーカナリークラブ連盟(JIR)に所属する会員が
繁殖した鳥には、足環の最初に「JIR」が入っています。
但し輸入された鳥や、市販の足環を付けた鳥に関しては調べようが無いことが多く、こうした鳥
の中には、雑種や他の品種のカナリア等が間違って売られていることが非常に多く、
特に注意を要します。

2.かごの用意
● 一羽の時:市販の金網かご「小」のものでもOKです。
● 二羽の時:市販の金網かご「中」から「大」のもの、もし巣引きする可能性があれば、「大」にします。
別に高価な木のかご(庭箱)でなくて構いません。いずれにしても、金網やプラスチック台の色が何色でも
構いませんが、底に敷いてある「糞切り網」は、足を踏み外すこともあり危険で不要です。
但し、外しても、掃除の時に鳥が逃げてしまわないよう良く注意して下さい。

3.かごの置き場所

● 明るく風通しが良いところ。例えば、窓際や囲いのあるベランダなどが適当です。直射日光が
日に何時間も当たる場合は、かごの半分程度は日除けを作るようにします。エアコン室外機の風の吹出し口
近くは避けるようにします。
● 外敵に襲われにくいところ。イタチ・ヘビ・猫・モズ・カラス・ネズミ・鷹・蚊等が外敵です。
これらから完全に防御するためには、室内の窓辺に置くか、屋外でもかごの外側を目の細かい金網で囲う
ことが大事です。自宅周囲に出没する、これら外敵についてはくれぐれも注意して下さい。

● 夜間に電灯が当たらないところ。特に秋から冬にかけて、夜に明るくなって鳥が起きている

様なことが続くと、激しい脱毛や体調の混乱を招くことがあります。カナリアは特に日照時間に敏感な
鳥ですので、夜は暗く静かに眠れるところに必ず置いてあげて下さい。これは重要なことです。
夜、鳥が起きているかどうかは、餌を食べに出てくるかどうかで判断出来ます。


4.餌は?
● 主食:1〜2羽程度で静かに飼う時は、(市販のカナリア用配合飼料です。カナリーシードではありません。)
で大丈夫です。しかし、大きなかごで多くのローラーを
一緒に飼う場合は鳥が非常に活発になるため、ナタネ・カナリーシードを1〜2割程度追加した方が良いようです。
皮付き餌の方が衛生上・栄養上良く、なるべくこれにしたいものですが、ムキ餌でもすぐ死ぬということはないでしょう。
但し、巣引き時の餌管理は全く別なので、注意が必要です。また、元々カナリアには多少餌を散らかす
習性がありますので、深目の餌入れの方が良いし、カゴを細かい目の網のサークルで囲ったりするのも、
部屋を汚さない工夫として効果的です。
● 野菜:カナリアは大変な野菜好きです。小松菜・しろな・チンゲンサイ・キャベツ・大根葉・白菜などの
葉物野菜や、更にはリンゴ・梨・桃・オレンジなどの果物が好物です。しかし、鳥によって好みにかなり差があります。
また、果物の中でもアボカドは避けた方が良いそうです。
要注意:カナリアは特に農薬などに弱いので、野菜・果物は良く洗うようにします。>
● 副食物:白エゴマ(やせている鳥・秋/冬季のみ)、ボレー粉、塩、塩土、砂(毎日入れていなくてもOK)。
色揚げフードは不要ですし、肥り過ぎを防ぐ為、卵餌などは通常はやらないようにします。
● :当然毎日新鮮なものをあげましょう。また水浴びが好きなので、天気の良い日は、午前中に水浴び
    出来る様にしてあげたいものです。

5.おもちゃなんて要るの?
別に無くてもどうということはありませんが、鳥の様子を見つつ、あまりに退屈しているようであれば鳥が驚かない様な
おもちゃも良いかもしれません。器用な鳥、不器用な鳥、好奇心が強い鳥、臆病な鳥、色々います。<但し、雄の歌を
訓練している期間中は何も与えず教師鳥の歌に集中させる方が良い>

6.爪・羽・足などの手入れ
3〜4歳よりも年をとってくると、爪が伸び過ぎる鳥も出てきます。爪がねじれたり長くなりすぎて引っかかったりするようだと、
爪切りで切ります。爪を透かしてみて、血管を切らないよう良く注意して下さい。羽は毎年7〜9月頃に生え替わります。
この時期、羽が散らかって部屋を汚しがちになってしまいますので、掃除をこまめにするようにすると良いです。
足も、5〜6歳より年をとってくると、ガサついてくる鳥が多くなります。また、足にゴミを付けたままで平気な鳥も時々います。
浮き上がったりした皮や、足指に付いたゴミは良く注意しつつ、こまめに取ってあげると良いでしょう。取る時はぬるめの
番茶に足を浸して柔らかくしてから取ると足に傷が付かず良いようです。

7.健康チェック
実際に見方を教えないと分かりづらいものですが、一応書きます。
健康チェックは、腹の色・張り・脂肪のつき具合等で調べます。腹とは、両足の間の毛が無い「下腹部」の部分のことで、
ここで太り具合や健康状態・発情具合まで、色々分かります。症状がかなり重くなってくれば、羽毛を膨らませているのを見る
ことで分かります。元々ローラーカナリアは丈夫な鳥です。下痢はまずしないし、風邪を引くことも少ないと思います。
しかしそれでも、栄養のアンバランス、激しい喧嘩の放置、過保護等の要因で病気になり、それが外見からも分かるほど
重症になってしまった場合、鳥は小さく体力もないので、治療困難で死なせてしまったり、「生きているだけ」という状態に
陥ったりすることが多くなってしまいます。従い、こうした日頃のチェックで症状が悪化する前に把握し、すぐ対処することで
健康が保てます。こうしたチェックをまめにする為には、日頃から鳥をうまく捕まえたり、慣らしておくことが必要です。
カナリアはインコ・オウムの様に手を噛んでけがをさせることはありません。従い、緊張せずにリラックスして、鳥をつかむこと、
鳥がつかまれること、に飼い主も鳥も慣れるように心掛けて下さい。鳥が良く慣れてくれる為に必要なのは、飼い主の興味と
愛情が持続することです。その為には、彼らの自慢のその美しい歌声を、良さが分かってくるほど良く聴いて、理解してあげる
ことだと思います。



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